コンフェデレーションズカップ 日本-カナダ

コンフェデレーションズカップ 日本-カナダ


前半9分から見ました。他で聞けなさそうなことを中心に書きます。
試合が終わってすぐ消灯時間になったので、けっこう記憶もあやしいのだけど。


<審判>

主審は全体にいいポジショニング。
主審の動きの見本のような動きでした。僕もいろいろ勉強になった。
こまかい反則も、よく見ていて、笛を吹くときは基本的に遠くてもプレーから15yd。20yd以上離れていたときは、あったかな?中田がハンドを取られたときぐらいか。

スペイン語を喋りそうな雰囲気の主審だったけれども。何人だったのかな?たぶんどこかのそれなりの審判でしょう。
ま、日本、カナダともに運動量的にはたいしたチームではないので、一流の国際主審ならこの程度のパフォーマンスは当然とも言えるが。

ただし、不可解だった点はひとつ。後半20分、稲本に対して警告したシーン。
その場面自体はちょっと僕が目をそらしていたときのものだったので、どうだったのか分からない。
それよりも、そのシーンのビデオ再生を見ていて、主審はそのとき背を向けているが、バックスタンド側の副審が旗を上に揚げていたことに僕の目が止まった。
それはその前に日本代表側にオフサイドの違反があったという合図と、僕は解釈した。
(反対側サイドでの稲本のファウルに対して副審が旗を揚げる、というのは事前の打ち合わせだったとしてもちょっと考えにくい)
オフサイドの合図を前のプレーで主審が見落としたのではないかと思う。

この大会はW杯の練習興行、ということで、審判は試合ごとにいわゆる「セット(全部同じ国から)」ではない。
慣れない相手と組む試合ということで、やはりちょっと連携ミスがあったか。

楔のパスがでる前の彼のポジショニング、というは、
・センターサークルの縦の延長線上が基本
・サイドに出そうなときは、そこから外側に10-15m程度まで流れる(ゴールラインの長さは68m)
という具合であった。


こまかく主審の動きについて見所をあげていけば

前半20分頃かな?日本右サイドが突破されてペナルティーエリア横のラインとゴールラインの交点よりややコーナーアークよりの地点からセンタリング。このとき、彼はカナダの選手と縦からみてほぼ同列ややゴールよりの後ろ側の位置にまわりこみ、プレーを見た(僕なら、エリア内を直進したと思う)。
日本DFがそれより1.5mぐらいゴールよりを走っていたので、あの位置からのほうが日本DFにボールが当たるか見えやすいと判断したのだろうか?

後半1分
カナダ陣左で伊東に対してカナダ競技者がファウル。主審は日本のアドバンテージを採用したが、そのボールを受けた中山がすぐにボールを奪われた。
ここで主審は、「予期したアドバンテージが実現しなかった。」として、伊東のファールされたところまでプレーを戻したのだが、そのとき、彼はちょっと長い笛を吹きながら、プレーを再開すべき地点に、手を伸ばして差しながら、まっすぐに小走りに走っていった。
簡単な動作だが、説得力がある。

後半10分
センターサークル内でのファールに対して、サークル内で笛。直後のプレー再開でタテにボールが出たが、主審は遅れない様に機敏についていき、そのあとの中山のペナルティーエリア前で受けた反則に対しても、カナダ側から文句の出ようのない位置で笛を吹いた。

後半11分、小野フリーキック。得点。
主審の位置は、攻撃側から見てペナルティーエリア中央左側入りの位置。

2点目のシーン、左からの中山のクロス。右に出たボールに対して、急がずに歩くペースで斜めにペナルティーエリアに向かって行く。おそらくクロスの出た先での受けた競技者のプレーについてはある程度副審に任せて、彼は得点に関係しそうなプレーをよく見える位置を見定めている。ここでいたずらに中央に寄りすぎるのは、走り込んでくる攻撃側競技者と交錯してしまう可能性もある。得点機になった場合のゴールとボール、競技者全体が見えるポジショニングを重視したのだろう。

3点目のシーンでは、小野の右へのパスに対し、それを左から見ていた主審は2点目のシーンとは反対に、すぐに小走りにペナルティーエリアに直進して入っていく。すぐに緊迫した状況になる、と見たのだろう。

この2点目、3点目での状況の緊迫度に応じての、彼の対応の違いは見ものです。

その他、
後半27分のボールを右に見ながらの縦への動き
後半37分の左を日本が突破してクロスが出たときの動き
後半42分の主審の左前から中央への斜めへの動き

あたりは、おもしろかった。
とにかく、この試合の主審は見所が多い。


<副審>

副審A1(メインスタンド側)
後半8分、中田浩二がタッチラインにクリア。そのとき、メインスタンド側アシスタントが旗を横に揚げるのが見えたが、いい形だった。旗を横に揚げるときは、真横ではなく、それよりいくぶん上に角度をつけると見栄えがよい。
後半カナダの手前側の選手のセンターラインすぐのところでの明らかなオフサイドに対し、旗を揚げるのが遅れる、ということがあった。
再生された画像を見る限り、その瞬間、副審はオフサイドラインよりだいぶ後ろの位置にいた。
ラインキープが甘い。

副審A2(バックスタンド側)は、テレビで見ている限り、後半中頃、一度オフサイドの違反を誤って取った。中山は、オフサイドの違反をしていなかった。


セット全体としては若干問題もあったとは思うが、試合のレベルには当然に対応しきれたレフェリングであった。
何度も言うが、主審のポジショニングは、主審とはこういう動きをするものだ、という見本のような動きだった。


<競技者他>

この試合で特に印象に残っているのは、中田、中山、小野、川口。

西澤の1対1が決まらなかったのはまあ仕方がないかもしれないとしても。
アナウンサーが
「完全に1対1になりましたが、狙い済ませたシュートは、GKの正面!」
と言ったのは、いただけなかった。

狙い済ましたと思うなら、それなのにGKの正面に蹴った西澤を責めろ。
失敗したのは仮にも欧州一流国の1部リーグで活躍せんとしている、日本を代表するかもしれないストライカーだ。もっと厳しく期待しろ。

日本左を突破されて、センタリング。川口はゴールエリア中央で、フリーでキャッチング、するかと思いきや、なんとパンチング。
あれは、キャッチだ。
その前の右を突破されたときのセンタリングをパンチングしたとき、ちょっとボールが滑るような感じがあって不安があったのかな?
でも、そのあと川口はいいパフォーマンスを連発していた。

楢崎と比べて思うのだが。
川口は、点を取られると「あー、くそ!どうして取られたのか、分かるから悔しい!」みたいな顔をして、悔しさをかみ締めた表情をする。
楢崎は、「何で、オレが、点、取られたんだ?疑問だ。」みたいな表情をする。

中山登場。
どうも、前線がパッとしない、いつもの日本代表だ、と思ってみていたら、中山登場。
彼が出てきてからは、違った。
もっとも、ここんとこかなりハードなスケジュールをこなしてきたようで、彼自身は正直お疲れのように見えた。キレもいまいちだ。
しかし、彼のすごいところは、それでもがんばるところだ。あくまで得点を目指し、ボールを追いかけまわし、あきらめない。
僕はコイツが好きだ。今日本で見ることのできる、もっともカッコいい日本人の一人だ。がんばれ、中山!
(僕は中山ファンです)

・・・と、思っていたら、大活躍した。
後半10分、ペナルティーアーク付近で中山倒される。直後に小野のフリーキックで得点。
後半14分、左に流れたボールを中山がライン付近でなんとか持ち、切りかえしてすぐにセンタリング。ファーの森島が受け、中央に走り込んで来た西澤がヘッドで得点。

中山は、とにかく前向きだ。最初のチャンスに仕事をしよう、という気迫に溢れている。お疲れなのに、よくやってるよ。すごいよ。
解説者の「いつも相手方向を向こうとしている。前を向いている選手をシンプルに使っている。」
というコメントも適切だった。

しかし、彼ももう33才だ。来年の大会のころには、34才になってしまう。チーム一番の大ベテランの彼が出てこないと攻撃で他の競技者が前を向こうとしない、というのも、日本代表にとっては問題だろう。
なんで、ああいうアグレッシブな奴が日本にはぜんぜんいないんだ?

前半真ん中過ぎから前半終了にかけて、カナダの中盤がボールを持って、大きいセンタリングにフラット3の日本DFが対応しきれないシーンが続出した。
このあたり、なんか、フランス戦(後半数分しか見ていないのだけど)の録画見ているような気分になった。
フリーで大きく出されたり、新しい選手が出てきたりすると、日本のDFラインはつききれなくなるのだ。

トルシェは、フランス戦で何を学んだんだ?
相手がカナダだからよかったけど、もっとちゃんとした相手だと、点取られていたぞ。
中盤のプレスをしっかりかけろ。DFは、簡単にウラに相手を逃がすな。

その他、稲本、戸田のいいシュートがあった。戸田は特に惜しかった。


テレビの解説者は、いいコメントを続出していた。
「日本は集中力を欠いている。ここはしっかりシュートで終わりたい。」
「サイドチェンジをされたあとのポジション修正をしっかりしたほうがよい。」
等。サッカーは、数的優位が基本だ。
喋っていたのは、誰だったのだろう?ロクに競技規則も知らないM木Y太郎とは大違いだ。


この試合、小野はすごい集中していたな。目つきも、すごいよかった。充実していた感じだ。
試合後のインタビューのときも、最近の精神的充実ぶりが伝わってくる顔つきだった。
技術だけでは、なかなかいきなりあれだけのパフォーマンスをできるものではない。
さすが、逆境から這い上がってきたヤツは違う、と思った。強い。

いつもああいう表情で試合に出てくれるなら、これから浦和レッズ見に行くぞ。

「療養に支障のない範囲で」だけど(笑)

01/06/01


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