2005年10月25日

受験相談

たまに勉強法の質問メールなどを受けます。

なるべく時間を見てこまめに回答するようにしているんですけど。
さいきん「英語嫌いの東大卒が教える私の英語学習法」なんてエラいタイトルの学習法の本も出したし、著書のタイトルですっかりカミングアウトしちゃったし、世はドラゴン桜のおかげで東大ブームだし、ということで。

差しつかえない部分だけ抜き出してウェブ上に置くことにしました。これから何かの勉強をしたいという人は、大いに参考にしてください。

第一弾は、さいきん受けたこんなご質問。間に人を介しています。


こんにちは。参考書の件で相談があります。
一度高校を出てから大学受験をすることにした人がいます。国立○○大学の△△学部(生物系)を受けたいそうなのだけど、最近決めたので勉強法がわからないと相談されました。
今年はさすがに合格は難しいので、来年の合格を目指しています。
今年のセンターも受けて一応チャレンジしたいそうです。ちなみに出身校は、偏差値は55くらいの高校のようです。
受験教科はセンターが国、数、生、化、英、現社だそうです。
特に英語が苦手らしく、最低これだけは!という参考書があったら教えてもらえませんか?
他の教科でも良かったなーというのを覚えていたら教えてください。



こんばんは。

お返事遅くなってごめんなさい。
サーバがダウンしてたりなんとかで、なかなかタイミングがありませんでした。

さてさて。
さいきん、ヒゲ生やして黒いスーツ着てたら阿部寛に似ていると言われたんで(笑)、
ドラゴン桜風に。って訳でもないけど。

> 今年はさすがに合格は難しいので、来年の合格を目指しています。
> 今年のセンターも受けて一応チャレンジしたいそうです。

まず、この姿勢は直しましょう。
来年受かる人は、今年受かるつもりで必死こいて勉強した人です。

何故か。


  • 最初から惰性で再来年を目指している人とは日ごろの意識が違うので、今年受かるつもりで必死こいた人は、そうでない人よりも今度の春の段階ですでに実力が違う

  • 今度の春受かるつもりで受けた人は、今度の春にいちど勉強内容をまとめていて、次の1年はそれの再構築の年になる。なので、次の春の段階でも、はじめてまとめにかかる人とは仕上がりがおのずと異なる。

  • マジメに勝負して負けてるので、くやしい→翌年度早々から勉強に身が入る。

あと、大学受験なんかで1年無駄にするのはもったいないです。
そんな時間があったら、勉強くらい代わりにしてやるから、全部僕にくれ!という感じです(笑

というわけで。
高校2年生じゃないんだから、仮にも一応学校で教わってきたことなんだし。
やるなら受かるつもりでやりましょう。



とはいえ。

では、どうやって「今年受かるつもりでやる」のか。
まず、合格ラインの見当をつけないことには、どうすれば受かるかも考えようがない。

ということで、下のリンクから、○○大学△△学部の、センター試験の得点率で見た合格ラインを調べました。
http://passnavi.evidus.com/search_univ/main.html

添付ファイルは、1次試験、2次試験の配点です。
(添付ファイルは省略)

2次試験での合格ラインの得点率は調べたのですが分かりませんでした。



「十分に受かりかねない」レベルは、合格率60%よりちょい下。
ここでは、資料その他から、「センターで8割を取れればよい」ということで話を進めます。


(*)それから、以下の話の前に、前提として僕の主観をですけど、直前にグッと伸びる人は、なんらかの爆発力のある得意科目をひとつでも持っている人です。
「全体に偏差値60くらい」という人より、「ダメ科目ばっかりだけどひとつだけ得意な科目があって、それはいいときはメチャクチャいい」という人のほうが、伸びます。最後は、他の科目も。

その理由は:


  • とにかくひとつの科目で成功していること

  • メチャクチャやってグッと伸びたという体験が自信になること

  • 急に伸びるということ、急に伸ばすにはどうしたらいいのかといことを、経験として感じていること

  • 逆説的に言えば、そもそも、「ある科目の一部を極める」ということの拡張が「ひとつの科目が得意になる」ということならば、「複数の科目が得意になる」というのも、「ある特定の科目を極める」の延長でしかないといえる。
    となると、「特定の科目」を「極める」ところまでやったことが無い人が、いつの間にか全体的に向上しているだろうという期待はしにくいこと

  • ある程度「極める」ところまでやりこんでいる科目があると、その間に得た知識、ノウハウの多くが他の科目にも応用できる域まで達するので、隣接科目を学習する際の負担が実際少ないということ


まず、全体で8割を取るには、8割以上を取れる科目が最低限1科目ある必要があります。
まず、最初の得意科目を作りましょう。

(ところで、よくある錯覚ですけど、センター試験で高い点数を取る人でも、まんべんなく取れているわけではありません。ムラがあるのが普通です。東大でも、ギリギリで受かる人は普通にそうです。僕は、英語、国語が特にダメでした。)

そして、当然のことながら、得意科目は前期試験の2次試験でも使う科目であるべきです。
(添付ファイルによると、後期は2次試験は面接のみ)
本人は英語が苦手ということなので、英語以外から選びます。

そうすると、世界史、日本史、地理、数学、物理、化学、生物、地学のどれか、ということになります。

本人が現社を受ける予定なので、これは2次では使えない。となると、「数学、物理、化学、生物、地学」のどれかです。


【ここが重要】
ここで、本人の好き嫌い、大学で勉強したい科目かどうかは抜きにして、実際に過去問を見てみて、「あ、これなら間に合うかも」という印象を持てる科目を選ぶことが大事です。
(うーん、ドラゴン桜チック)

特に、生物・地学といった科目は、意外な穴場であることが多いです。
過去問は立ち読みで良いので、ちゃんと読んで、頭の中でで良いので解いてみること。


実際、僕も高校は物理・化学を取ってましたけど、東大は生物・化学で受けました。
僕には、生物簡単そうだったんで。(センター試験は物理・化学)

話したことあると思うけど、僕は、生物の勉強は、東大受験前の2週間しかしていません。
でも、勉強はじめた10日後には得意科目になっていました。
それ以前に化学がメチャメチャ得意だったんだけど、生物は、10日の間にそれに追いついていった、という感じでした。
得意科目がひとつあると、そういう現象は十分起こり得ます。

ちなみに、東大の場合、生物、地学は物理や化学よりだいぶ緩いと言われます。
外国語も、英語は難しいけど、ドイツ語、フランス語などはかなりユルいです。

余談ですが、江副浩正氏は、高校3年のとき、同級生がいぶかしがるのを横目に、英語やめてドイツ語の勉強をしていたそうです。東大はドイツ語で受けて合格。
彼は、高校生のころから、定番とか世間の一般常識とかにとらわれずに、自分の標的にまっすぐに進んでいける人だったんですね。


そうやって、何を最初の得意科目にするのかを決めたら、さあ勉強開始です。
○○大学のその科目の試験では何がよく出るのか研究して、あとはそれを意識しながら頻出分野から順に潰していってください。



1科目目がイケそうな域(とりあえずセンターで合格ラインを超えるところ)まで来たら、それから2科目目、という感じでよいと思います。
3科目目は4科目目といっしょにやってもよいかもしれない。
1科目目、2科目目もちょこちょこやってるでしょうし、その2つも向上しているならば、9割に迫るところまで行っていることでしょう。
苦手な科目も、上達のスピードは速くなっているはずなので、センター1月前くらいからしっかりやっていけば、とりあえずセンターで決定的に足を引っぱらないところまで持ってこれるでしょう。
これで1次試験は突破です。

2次試験は得意な1科目と英語の2科目での試験みたいなんで、得意な科目次第でこれもイケるでしょう。
後期なら面接だけなんで、もっと可能性高いかもしれない。



さて、で、「苦手」な英語をどうするか、という話ですけど。
(僕も苦手&嫌いだったんで、きもちはよく分かります (^^; )

英語嫌いの東大卒が教える私の英語学習法」でも書いたとおり、基本はボキャブラリ+文法です。
どっちが先かと言えば「ボキャブラリ→文法→ボキャブラリ」です。
まずボキャブラリをやること。

旺文社の「ターゲット1900」をやっておけば、まず大学受験レベルなら問題ないと思います。
2章の途中までやれればかなり上等です。
やり方も僕の本を参照。たくさんチェックしながら乱読、です。

この方法用のリーディングには、「基礎英文問題精講」(旺文社)でよいと思います。
改訂版が出ているようだね。
ひととおりやったら、過去問かな。○○大学のだけじゃなくていいので。

但し、大東亜帝国レベルの私立大学くらいになると
試験問題の質もかなり落ちるので(ヘンにヒネってある)、いいところのをやるようにしましょう。
悪問ばかりやっても、○○大学の練習にはならないと思います。

過去問までは時間がなかったので僕は見てないけど、○○大学だし、ちゃんとした問題を出していることと思います。


余裕があれば熟語もやりましょう。余裕がなくても、基礎的なものは押さえておくこと。
但し、「英熟語ターゲット」はお勧めできません。使ったことあるけど。
代案はあまり思い浮かばないけど、あえて知ってる範囲で選ぶなら、「英熟語make it!」がまあまあかな。

それから、2次試験でライティングが課されているけど、かなり仕上がるまでライティングには手をつけないこと。
発信のスキルの伸びは、受信(つまり、リーディングね)のこなした量にかなり依存します。
(ちなみに、「英語嫌いの東大卒が教える私の英語学習法」で発信スキルの上達方法については詳しく書かなかったのは、TOEIC本だからではなくて、ビギナー向けだからです)

リーディングをこなすことがライティングの基礎力をつけてくれます。
だから、リーディングもさらさらできないうちにやっても苦しいだけ。
リーディングこなさないうちからライティングの勉強するのはナンセンスです。ムリヤリ解答覚えても何にもなりません。ていうか、覚えられないし。

しかも、ライティングなんて、どうせ一般の大学受験生には
マトモにできません。リーディングこなしている人の解答であれば、大きな差はつかないです。この点は、リスニングもたぶん同様。

得点計画として、2次試験の英語配点200点のうちライティングで何点取るかを考えて、どのくらいライティングの勉強をするか決めてください。
ちなみに言うと、僕は、東大の試験、英作文は白紙で出しました。案外そんなモンです。



あと、質問で答えこぼしになっているものを:

生物(僕がやった方法):
厚めの(理系向けの)教科書を、生物の普通の資料集、チャート式の厚い参考書を参照しながら、2日半かけて熟読しました。
それから、薄っぺらい基礎問題集みたいなのをやりました。確か、2,3日かけて。
その後、東大の過去問10年分(30問)を、毎日2年分ずつとかやりながら、いろいろノート作ったりしていきました。
最初のうちはそうでもなかったけど、最後の数年分は、ほとんど正解できるようになって、やることなくなって困りました。


(*)
東大の生物の入試問題は、必要な知識は教科書レベルを絶対に超えないのだけど、実験結果について考察して、「○○という結果はどういうことか」とか、「さらに△△について調べたい。どういう実験をすれば良いか」といった問題に文章で解答するような思考力を試す問題ばっかりなので、だからこういうやり方でうまくいったのだと思います。
合格してからセンター試験の問題を見たら、穴埋めとか難しく感じました。


化学:
現役高校生が十分に時間をかけられない有機化学は、実は点の取りどころ。
大学の化学の授業まで扱わないマルコフニコフの法則とかザイツェフの法則とかを覚えてから勉強すると、非常に簡単です。
ネットでも調べられそうだけど、時間があれば、代々木ゼミナール宇野正明先生の有機化学の講義を受けるとよいと思います。きっと、直前コースとかであるんじゃないかな。僕は高校3年の夏に受けて大正解でした。

あとは、アセチレン、ベンゼンから始まる反応図を毎朝写経のように空で描きましょう。駿台の「有機化学演習」の巻末付録図をベースにして、「必修化学」など別の参考書や、自分でやった問題の中で出てきた新しい反応をつぎはぎしていってオリジナルのを作るくらいまでやるとよいです。
お絵かきなので、楽器を作ったりするクリエイティブな人には楽しい作業だと思います。


英語はビルドアップまで時間がかかります。
これだけは、今からでもボキャブラリの強化のステップに入ったほうがよいと思います。
得意科目にする科目の勉強と併せて、英語もちゃかちゃかやりましょう。
片方がもう片方の気分転換、というリズムでやれればグッドです。

Posted by kone at 2005年10月25日 02:21 | トラックバック
コメント

受験生ではありませんが...(^^;)
とても参考になりました。

Posted by: Kanko at 2005年10月25日 08:51

ど〜も、こねさん!
すごいなー大学受験するわけじゃないけど、ものすごい面白かった(笑)
そうそう、スーツ着てると阿部寛ね、ちょっと似てるかもしれませんねー!(笑)
次は大学受験本なんかも出せそうな勢い!
いや、出したら人気でそう!
すっごいテンションがあがる説明なので、なんだかやる気がでてきましたー。

Posted by: さかぶー at 2005年10月25日 15:32

> ものすごい面白かった(笑)

ありがとうございます。

エンターテイメント性の高いウェブサイト目指している僕としては、そう言っていただけるのがいちばんうれしいです☆

こういう話、堅苦しいだけではつまらないですからね.. (^^

Posted by: kone at 2005年10月29日 23:31

大学受験の予定はありませんが、
大変興味深く読みました。
英語の勉強のやる気が出てきました。

英語を学習する上での、アドバイスを
時々載せてください。

こねさんに時々喝を入れてもらわないと、
ダメみたいです。^^;

Posted by: Mayumi at 2005年11月01日 00:32

> 大変興味深く読みました。英語の勉強のやる気が出てきました。

ありがとうゴザイマス☆


> 英語を学習する上での、アドバイスを時々載せてください。

在庫がどこかにあるので、そのうちやります。


> 大学受験の予定はありませんが、大変興味深く読みました。
> 英語の勉強のやる気が出てきました。

結局、環境・方法の最適化と集中力、時間の確保以外ないと思うんですよね。
このすべてをそれなりなレベルにまで引き上げないことには、何をやるにしても難しいと思います(というか、「やってる」のうちに入らないと思います)

Posted by: kone at 2005年11月02日 06:04

東大地学、2000年入試では1200字の論述とかあったわけですがそれでも、地学って穴場ですかね?
過去問実際に解いてみてから言った方がいいですよー。
中学高校の積み重ねがあると「簡単」に見えますが、実際解いてみるとそうでもないと思います、とだけ。

Posted by: 地学受験者 at 2006年01月19日 23:04
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