3月6日 読売新聞「編集手帳」
19世紀末の英国の作品で、戦後になって日本で出版された翻訳本「ちびくろさんぼ」が来月復刊されることになったという。「黒人差別を助長する」といった批判があり、十数年前に絶版になっていたものだ。
「かつては民話ブームと呼ばれる時期もあったが、バブル経済の盛んだったころからおだやかに下火になっていった。」とは、民話研究者の大川悦生さんが亡くなる直前、1988年の言葉。
大川氏は、さらに柳田国男氏の言葉を引用する。「説話の英雄は最初は小さく貧しく、形が見苦しかったほかに往々にして怠惰であった」と。
コラムはこのあと、
「差別表現の問題、方言交じりで読みにくいこと、受験に関係ないことなどから教育現場からも排除されていったという事情もわかる。だが、現代人が現代人の視点だけで先人の文章を批判して遠ざけることの危険性もあるのではないだろうか。」
とした論調で〆られている。
---
「現代人」自体が移ろいゆくものであり、「現代人の視点」もまた常に移ろいでいる。
あることをもって正しいと考え、あることをもってふさわしくないと考えたその人は、そのときそこにしかいない。
ところで、果たしてちびくろさんぼが「小さく貧しく、形が見苦しかったほかに往々にして怠惰」であるかどうかとなれば、それはまたそれだろうと思う。
小さいのは子供だから。経済的には豊かでないかもしれないけど、自然の恩恵に近いところで、決して文明社会では得られないような体験をしながら日々を送っている。形が見苦しいわけではない。文明社会には、もっと怠惰な大人がきっとゴマンといることだろう。
僕なんかは子供のころ、ヤシの木(でしたっけ?)のまわりをぐるぐる回ったトラがバターになっちゃうシーンなんかに純粋にあこがれたものでしたが。
関連リンク:
ちびくろさんぼの復刻を考える
「北の零年」の思想的輝き」
http://www.konesite.com/weblog/archives/2005/02/post_48.html
こんにちは。
「ちびくろさんぼ」は小さいときに絵本で読みましたが
私もヤシの木の周りをトラが回って
バターになり、最後ホットケーキ(?)を作っているのを見て
ホットケーキが食べたかったです(笑
あのトラのシーンがかなりインパクトがあって
今考えると発想がすごいなと思いました。
想像力に欠ける偏狭な大人のせいでああいう作品との出会いの機会を子供が失ってしまうというのはちょっと残念ですね。
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ||||||
| 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
| 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
| 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
| 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
| 30 | 31 |