アイデアのつくり方
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1800年代後半生の著者による、ほとんど小冊子としか言えないようなサイズ・分量の本。それに、竹内均の、本編とどっちが本編なんだかという分量の解説が入る。
広告人と物理科学者。二人の偉人による同じテーマについて書かれた小冊子が一冊にまとまった本といったところだ。
簡単に読めるので、誰にでもお勧めしたい。
内容は、いたって率直でシンプル。
著者のヤングの言う、すぐれたアイデアが生み出される過程は、須く以下のようになる。
1. 情報の収集
2. 集めた情報の咀嚼
3. 放っておく
4. ハッと思いつく
5. 忘れないうちに形にする
情報の収集は、執拗で幅広く、多いほどよい。情報咀嚼の過程では、多くの組み合わせについて検討するほどよい。
解説の竹内は、情報の収集にはどん欲であるべきで、大学教養課程のような一見自分に無関係に見えることでもまじめにやるべきだとする。また、情報の咀嚼は、「この情報とこの情報は無関係である」という棄却は行わず、KJ法などの手法を用いてでも(そうすることで、いわゆる「発想の天才」に近い成果を出すことが容易になるという)徹底して行うべきだとする。
竹内は、この徹底の成果として、「大陸」は「移動する」というウェゲナーのアイデア、「元素」には「周期性」があるというメンデレーフのアイデアを紹介している。
また、広告業者と物理科学者というまったく対比的な職業に従事するヤングと自分とは、アイデアの作り方について「ぴったりと一致していた」という。
その点も興味深い。
禅の思想で、「無常説法」というものがある。
森羅万象、山川草木が自分に仏法を説いていると感じることができるか。無心になり、それを受け入れることができるか。
ニュートンは深い問いかけをもってリンゴが木から落ちるのを見て万有引力を発見した。ダーウィンは、深い問いかけをもって生物を観察し、進化論の基礎を見いだした。
広告アイデアの発見も科学法則の発見もこの世の真理に対するもうひとつの発見にしかすぎないとするならば、観自在菩薩とはいかないまでも、何事にも心を閉ざさず森羅万象を観察する姿勢こそが「諦らむ(明らむ)」道なのだろう。
あらためて、そんなことを思った。

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